NRSDKが公開されたので、現在の状況を調べてみました。
はじめに
Nreal Developer Service Agreementには以下の記載があります。
8.5 All Software, Services, and related documents and materials provided to You by nreal are confidential. You shall not disclose any of the aforementioned confidential information to any third party without nreal’s prior written consent.
翻訳
8.5 nrealからあなたに提供されるすべてのソフトウェア、サービス、および関連文書と資料は機密です。 nrealの書面による事前の同意なしに、お客様は前述の機密情報を第三者に開示してはなりません。
つまり、Webサイト等で公知になっておらず、Developer登録しないと知り得ない情報は勝手に開示してはいけません!
現状、Unity SDK 1.0.0 BetaのソースコードはGithub等で公開されていないので、機密情報に該当します。そのため、開発方法についての解説記事・ツイートはnreal社の許可がないと出せない認識です。
本記事では、Developer以外にも公開されている情報のみをまとめます。
読み方
nreal(エンリアル)です。
エヌリアルって言っちゃうと、ちょっと恥ずかしいので覚えよう!
価格・発売日
Consumer Kit
本体(Glasses)のみのConsumer Kitが$499
発売予定は2020年初旬となっているので、1〜3月くらいでしょうか。
ただし、コントローラーとコンピューティングユニットが付属しないので、Snapdragon 855を搭載したAndroidスマートフォンと有線接続が必要になります。
2019年7月時点でSnapdragon 855を搭載しているスマートフォンは最新のハイエンド機種になるので、対応機種を持っていなければトータルで10万円オーバーになりそうです。
↓Snapdragon 855搭載機種の例
有線というのも引っかかるところで、手でスマートフォンを持つとはいえ、USBケーブルが邪魔にならないのかは気になります。
Developer Kit
本体(Glasses)にComputing Unit、Controllerが付いたDeveloper Kitは$1,199
発売は2019年9月頃です。
こちらのControllerは無線でOKっぽいです。Computing Unitはネックストラップで首にかけて使っている写真がありました。
必要なものは一式揃いますし、発売が半年くらい早いので開発者はこちらを購入した方が良さそうです。
開発
プラットフォーム
Computing Unit(Android OS)もしくはAndroidスマートフォンに繋いで使うため、Androidアプリと同じように開発ができます。開発中はadbで実機インストールができます。
https://developer.nreal.ai/develop/unity/android-quickstart
NRSDK
Unity、Unreal、Android NativeへのSDK提供が予定されていて、現時点で公開されているのは、Unityだけです。
https://developer.nreal.ai/develop/discover/introduction-nrsdk
提供機能
SDKとして提供されているのは、ARの基本的な機能のみです。
https://developer.nreal.ai/develop/discover/core-features
- 6Dof Tracking(Glasses)
- Plane Detection
- Image Tracking
ARアプリを作る上では、上記の3つがあれば、とりあえずは十分かなと思います。
コントローラー
開発者向けのサイトを見ると、コントローラーのトラッキングが3DoFと書かれています。
https://developer.nreal.ai/develop/unity/controller/
ということは、回転しか取れない可能性が高く、振るのではなく傾けて操作するイメージになりそうです。
ボタン類はApp ButtonとHome Buttonしかなく、システムで操作が割り当てられているので、アプリで使えそうなのはTouchpadのクリックとスワイプだけです。
また両手にコントローラーを持つような雰囲気ではなさそうなので、Daydreamコントローラーに近い感じですかね。
画面タップしかできないモバイルAR(ARCore)と比べれば、コントローラー1つで十分ですが、VRからのゲーム移植だとインプットが足りないかもしれません。
nreal Platform
利用規約によると、"nreal Platform"と呼ばれる独自のプラットフォームが提供されるようです。
1.7 “nreal Platform" refers to websites and management and business platforms owned and operated by nreal that provide services and facilities for You, to enable You to offer Your Products to Users.
プラットフォームへの公開には、nreal社による事前承認(審査)があるようです。
5.1 All Products that You offer via the Platform are to be submitted to nreal for nreal’s prior authorization.
Google Playなどでアプリを公開できるかについては読み取れませんでした。個人開発者やスタートアップだと気になる部分ではありますね。
まとめ
注目しているデバイスではあるのですが、価格面で10万円程度の出費は覚悟しないといけないので、一般消費者がどこまで手に取ってくれるのかは読みにくいです。
HoloLensやMagic Leap Oneよりは安いとはいえ、気軽にちょっと試してみようという金額ではないのは事実です。
普及に関しては、nrealの戦略的パートナーとなったKDDIさん、メルカリさんの動きに期待しています。
ちなみに、ドコモはMagic Leapと業務提携しています。
機能・開発面では、プラットフォームがAndroidで、Unityで開発できるため、ARCoreで開発しているモバイルARアプリの移植はいけそうかなと思っています。
一方、Oculus Quest向けのVRアプリをMRに・・・というのは、スペックやインプットの数からどうなんでしょう?って感じです。
おわりに
結局、まだDeveloper Kit注文していないんですけど、どうしようかな。
一度体験したいけど、悉く予定が合わない。