じゅころぐAR

ARのブログ

2020年のARを振り返る

今年も残すところあと8時間ほど(執筆開始時) となりました。 新型コロナウイルスの影響もあってあっという間でしたけどAR技術にも変化のあった1年でした(たぶん)

そこで、jyukoが選ぶARトピックを10大ニュース形式で振り返ってみます。
なお、10個思い付かなかったらごめんなさい。先に謝っておきます。

Unity

1. LiDAR搭載iPhone/iPad発売

jyukoがARやってる人として認知されはじめたのって、Google TangoでいろいろやりながらQiitaやTwitterに投稿してからだと思うんですね。
その後、Tangoがお亡くなりになりまして・・・ARKit/ARCoreからAR Foundationへと移行していくのですが、Tangoが生きていれば、今頃は…と思うこともしばしばあったわけですよ。

そして、発表された LiDAR搭載iPad!! 元々、専用ハード+OSを開発してるAppleがやるべきと思ってたんですよ。 2021年だと普及率が低くなかなか活用しにくいですが、数年後にはLiDARを前提とした機能やサービスが出てくるかもしれません。

新 iPad Proの「LiDARスキャナ」解説。3D認識でARが進化、モノのオクルージョンも対応 - Engadget 日本版

2. ARCoreがDepth APIに対応

スマートフォンのカメラだけで深度データを取得できるDepth API。2019年12月に発表はされていましたが、使用できるようになったのは今年の6月でした。

Android向けARフレームワーク「ARCore」新機能がリリース、カメラだけで空間情報取得 | Mogura VR

Project Tangoを進めてきたGoogleがセンサーなしのDepth APIをARCoreで提供して、ARKitでセンサー不要のARを進めていたAppleがLiDARセンサーを付けることになったのが面白いところです。

機械学習の技術に優れたGoogleの立場を考えると、あるべき姿に落ち着いたのかなという印象です。

3. Niantic ARDKの事前登録開始

ポケモンGOの開発元でお馴染みのナイアンティック。ノウハウを活かして、AR開発キットの提供が開始されます。

ポケモンGOのナイアンティック、AR開発キットARDKの事前登録を開始。日本先行で受付 - Engadget 日本版

Google発のスタートアップで関わりが深いためか、VPS(Visual Positioning System)、ARクラウドなど、過去のGoogle I/Oでビジョンとして語られていた機能が対応予定になっています。
Tango→ARCoreの方針転換のタイミングで計画を見直し、研究開発的な位置付けでナイアンティックと進めてきたのかもしれませんね。

ちなみに、今後のARで重要となりそうな技術の一つにセマンティック・セグメンテーションがあります。
これは平面検知と機械学習の組み合わせで、床だけでなく机や椅子など意味のある平面を検出する機能です。

ポケモンGOのナイアンティック、仮想と現実をつなぐOS「リアルワールドプラットフォーム」発表 - Engadget 日本版

LiDARが必要になりますが、ARKit3.5もセマンティック・セグメンテーションに対応しています。これにより、より自然な形でARオブジェクトが現実に溶け込めるようになります。

ARKit3.5およびAR Foundation4.0を試しました - じゅころぐAR

4. Unity MARSリリース

今年の6月1日からUnityが新たに提供を開始した有償のUnity拡張ツールです。
AR Foundationが開発者向けだとするなら、MARSはクリエイター向けという感じで、有償なだけあって便利な機能がいろいろあります。

詳しくは過去のブログ記事を読んで頂ければと。

Unity MARSを使って特定の場所にARオブジェクトを自動配置する - じゅころぐAR

ARクリエイターの裾野を広げる意味で、今までAR開発が難しいと感じていた方にも一度チェックしてみていただきたいです。

ARグラス

5. Nreal Light販売開始

低価格帯のMRグラスとして以前より注目されていたデバイスですね。
開発者向けのDeveloper Kitが5月に予約販売を開始、そして12月1日にKDDIが一般販売を開始しました。

NrealLight 通販 | au オンラインショップ | スマホ・携帯電話向けオプション品

jyukoも何度か体験したのですが、開発者からすると視野角や平面検知の精度など、もう少し没入感が欲しいというのが正直なところ。
ただ、この価格帯で市場に並ぶことに意味があると思うので、市場にどんな変化があるか注目です。

6. ソニーがAppleのARグラスにディスプレイ供給?

数年前から絶えず開発の噂が流れ続けているAppleのARグラス。早ければ2020年終わりに発表という予測もあったものの、結局Appleからは何の情報もありませんでした。

コロナの影響で製造が遅れているのではという話だったのですが、10月にソニーがディスプレイの供給を行うらしいというニュースが複数のメディアで報じられました。

ソニー、AppleにHMD向けディスプレイを供給か - ITmedia NEWS

ディスプレイの製造ラインが組まれているのであれば、販売が近付いている証拠。とはいえ、まだ時間はかかりそうなので2021年後半から2022年前半くらいかなと予想しています。

7. Tilt Fiveもうすぐ出荷

2019年9月から10月にかけてクラウドファンディングが行われたテーブルトップARのTilt Five。コロナの影響で中国の工場での製造が大幅に遅れてしまい、2020年中に出荷はされませんでした。

その後解決策を見出したようで、プレオーダーページを見ると、2021年4月発送と書かれています。

Preorder Tilt Five: Holographic Tabletop Gaming on BackerKit

個人的にかなり期待しているプロジェクトで、ゲーム用途に特化したボードとコントローラーの操作性を含めて、面白いアプリが作れそうな気はしています。

送料はかかりますが、基本キットが$359と手頃な価格なのも魅力です。

WebAR

8. 8th Wall Webが曲面のイメージトラッキングに対応

有償のWebARプラットフォームとして確固たる地位を確立しつつある8th Wall。今年のアップデートでは曲面の画像を認識する新機能が注目を集めました。
WebAR以外も含むAR全体で見ても独自性の高い機能だと思います。

WebARの8th Wallがアップデート、曲面を使ったAR表現や自由度向上 | Mogura VR

WebARはブラウザだけで体験できる手軽さという性質上、広告との相性が高く、曲面の認識ができるとビンや缶、ボトルなど円柱の形をした商品のラベルでARを利用しやすくなります。

8th Wall WebはAR.jsやWebXR Device APIに比べると圧倒的に開発しやすく、model-viewerよりも自由度が高いので、短期間のプロモーションでは今後も重宝されそうです。

9. A-FrameがWebARに対応

つい最近紹介したアップデートになりますが、A-FrameがWebXR Device APIに対応して、ARモードが実装されました。

A-FrameでWebARに対応する - じゅころぐAR

iOS Safariにまだ対応していないため、利用シーンは限られますが、今後A-FrameだけでWebVR/WebARに両対応できるようになると開発が捗りそうです。

現状でもA-Frameは8th Wall WebやAR.jsと組み合わせてWebARを実現することができます。ソーシャルWebVRのMozilla HubsもA-Frameがベースとなっており、今後WebXRを行う上ではA-Frameが必修スキルになるかもしれません。

10. 地味にアップデートを重ねるmodel-viewer

いいタイトルが思いつかなかったのですが、2019年に発表されたmodel-viewerも2020年に頻繁なアップデートが行われています。

一部は以前に当ブログでも紹介しましたが、その後もアップデートがあるようです。

<model-viewer>をWebサイトに合わせてカスタマイズする - じゅころぐAR

ARモードの機能はどうしてもScene ViewerやQuick Lookなどに依存してしまいますが、Webサイトに埋め込むコンテンツとして、ARアプリとWebサイトのシームレスな行き来など今後の展開に期待したいです。

その他

jyuko、GugenkaにJoin

ARトピックに入れていいのかな?

個人的には生活環境がガラッと変わった訳なので、2020年を語る上で欠かせない出来事ですよね。

2020年の1月に入社したので、もう少しで1年ですが、
うーん、なんかもうちょっと長くいる気もする。

入社1ヶ月ほどで割と馴染んでたのと、Gugenkaの案件はスピード感があるので、そのせいだと思います。
アニメとXRが好きな人が集まっていて、みんなフレンドリーなので仕事はしやすいですね。人事の方にはjyukoさんは来たときからノリがGugenkaっぽかったと言われたこともありました。意味はよくわかりませんが、そうなのでしょう。

先日Gugenkaからいろいろ発表がありましたが、2年目も楽しくやれたらいいかなと思います。

ガラパゴスの微振動、販売開始

スマホアプリと専用のゲームキットで体験する過去編纂ARゲームです。今年の5月から6月にクラウドファンディングがあり、11月にENDROLLさんから販売開始されました。

【公式】ガラパゴスの微振動|体験型ARゲーム

コンセプトが面白そうだったのでクラファンで早期購入したのですが、実際に体験してみるとなかなか楽しかったですね。
ARを目にする機会が増えてきてはいるもののイベントやプロモーション利用が多い印象で、コンシューマー向けのAR製品としてこういったチャレンジは応援したいです。

まとめ

思いの外、書きたいことがいっぱいあって、公開が年内ギリギリになってしまいました…
実家で紅白を見ながらまとめを書いてます。

改めて振り返ってみると、ARだけに限っても着実な進化を感じる1年でしたね。
インパクトのある出来事よりは実用性の高い機能追加などが増え、黎明期から成長期に入ってきた印象があります。

オーディナル・スケールの世界まであと5年。みんなの力を合わせて、ワクワクする未来ができることを願っています。
jyukoも微力ながらXRな未来の実現に向けて、来年もがんばりたいと思います。